実績

　金沢市小立野の旧金沢大学工学部跡地に移転建替する石川県立図書館の計画である。貸出中心ではなく課題解決型・探求型であり、コミュニティや伝統文化と連動した新しい型の図書館という基本構想の内容を踏まえ、公園のような、目的がなくても何気なく訪れることができる図書館を目指した。
　建物中心部に設けた吹き抜け空間であるグレートホールは、円形劇場を向かい合わせたような段状の空間で、書架と多様な閲覧席により構成される各段は、スロープによって1階から3階まで結ばれている。この周囲には4階のリング状の閲覧空間やホールとして使用できる段状広場、大型の家具のある児童エリア等を配置し、刻々と情景の変わる館内をめぐることができる。
　立面は本の頁をめくる際の期待感をイメージして、外壁とカーテンウォールを雁行させて配置し、直射光を適切に排除しつつ開放的な閲覧空間を実現している。